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マフラー、手袋、帽子、ベスト、セーター。かわいいモデルの子が身につけたそれらの写真はどれも魅力的に見えた。
悩みに悩んで、結局最初におばあちゃんの選んだミトンに決めた。
実のところ、編み方のページにある難しそうな記号にちょっと驚いたのだった。
その日からおばあちゃんの編み物教室が始まった。
初めての編み物。なんとなく二本の棒で編んでいくイメージを持っていたわたしは、おばあちゃんの用意してくれた四本の棒針に目を見開いた。
「手袋はこの四本の針でまあるく筒状に編んでいくんだよ」
そういっておばあちゃんはすいすいといくつもの輪っかを針に作っていく。三本の針が三角形を作るように組み合わさって、そこにみるみる毛糸が編み込まれていく。
「こういう風にね」
一通り編み方を見せてくれると、おばあちゃんはせっかく編んだ毛糸を針から抜き取りするすると解いてしまった。
わたしのたどたどしい手つきに、おばあちゃんは何度も何度も手を添えて教えてくれる。ようやく順調に進み始めた頃、お母さんが晩御飯に呼ぶ声がしていったんそこでおしまいになった。
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