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花とわたし
わたしのおばあちゃんは編み物が得意だった。
おばあちゃんの宝物のお人形は、赤いドレスを着てフラメンコを踊っている。
真っ赤な毛糸で編んだドレスの裾は、くりんくりんとしたひだがとても可愛い。
そのドレスもおばあちゃんの手作りだった。
ある時、わたしはそのドレスにそっくりな花を見つけた。
真っ赤な毛糸でできたような花だ。お母さんにあれはなんて言う花かと尋ねたら、毛糸の花だって教えてくれた。
きっと最初にあの花を見た人も毛糸でてきていると思ったに違いない。
まだ十一月だったが、その朝はとても寒かった。
いつも一緒に登校している海世ちゃんが、初めて見るマフラーを着けていた。
全体は真っ白な毛糸で、端の方に赤やピンクで編んだお花が付いている。首にくるくると巻くような長さではなくて、少し長い襟のような感じで首の前で交差している。外れてしまわないように片方は穴に通してあるらしい。
「お母さんに教えて貰って編んだの」
と海世ちゃんは言った。
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