チョコ的な何かが欲しい僕の話でもしましょうか。

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別にそんな社員は別にもいる。 彼女だけが特別じゃない。 なのに、柏木は気づいたら好きになっていた。 美人なのに、人を寄せ付けない雰囲気も損している。 裁縫が得意なのも内緒しなくていいのに。 お弁当のポーチも手作りだろう。 いや、そもそも女子はそういうのに目ざとい。 たぶん、手作りなのは気づいているだろう。それでも声をかけないのは彼女に興味がないからだろう。 柏木も実は小学校のころは空気のような存在だった。 昆虫が好きでいつも校庭のすみで一人で遊んでいた。 ところが親の転勤で都会に行くと、昆虫と遊ぶ機会も減りゲームにはまった。 テレビゲームだと友達ができることがわかり、「普通」になった。 普通が悪いわけでもない。 けれど、好きなことをだれかに評価されなくとも貫き通している山際を見て、柏木はわくわくしてしまったのだ。 なんか、いいなそういうの、って思ってしまった。 怖い、イメージのある山際綾子。 柏木はここ数年、勇気を出して雑談を経理課でしていくようになった。 おかげで経理課の部長とはだいぶ仲良くなりつつある。 ちなみに部長には山際綾子を好きなことを気づかれている。
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