チョコ的な何かが欲しい僕の話でもしましょうか。

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「約束のものです」 「わ、あ、ありがとう」 お金を払うにしてもうれしい。僕は無造作に差し出す紙袋を恭しく受け取り、中身をあけた。感想を言うまでもなく、山際さんが去る。 僕はその背中を、追いかける。 中身は、手作マフラーだった。 部署から出た廊下。 ひんやりとした廊下には誰もいなかった。 「山際さん、これは相当時間かかったでしょ、チョコを、チョコを市販のものを買ってくれるものかと」 「チョコのほうがよかったでしょうか」 「いや、千円以上の価値だよ! 使うから、これ本気で使う。ありがとう。あのさ、僕、本当は」 言えない。 言葉に詰まっていると、山際さんが静かに言った。 「お金をもらうからには、それ相応の価値が必要です。私は、一度、自分の手作りのものを誰かにあげて対価をもらいたいと思っていました」
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