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3年の歳月が流れ、テロ集団が使った兵器がロシアで秘密裏に開発されたものだとアメリカの諜報局が発表した。その発表と共に、アメリカの大統領は安全性の強化という名目で日本に駐在させる軍隊を増員し、日本の政治にも介入し始めた。
そんなアメリカの対応にロシアは黙ってはいなかった。ロシアはアメリカの発表を全面的に否定、さらにアメリカ軍に対する牽制として日本との国境付近に多くの軍隊を配置し第二次世界大戦後以来の冷戦状態となった。
国際間の緊張が高まる中、ロシア軍が北朝鮮と中国と軍事同盟を結び2026年8月に過去最大規模の世界大戦、日本を中心とした第三次世界大戦が勃発した。
日本の主要都市、日本海に面する地域は戦火に呑まれていった。建物は破壊され、数え切れないほどの死人が出た。軍隊を持たない日本はその防衛をアメリカやイギリス、ドイツに一存することになり、国力の衰退を誰もが痛感する程だった。
警察は力を持たず、民は生き延びるために犯罪を犯し、無慈悲にも他国の軍に搾取される資源。県庁の不機能が原因で県境は曖昧になり、日本地図は大きく変化した。日本全国が無秩序に染まっていく中、2027年、神奈川県箱根市のとある山奥で2人の少女が数匹の犬を連れて散歩していた。
「真神ちゃん、山道で走っちゃだめだよ」
白いワンピースを着た少女が前方ではしゃいでいる少女に注意する。
「雫姉は心配性だな?私だって主様に作ってもらった新生物なんだよ?」
真神と呼ばれた少女には犬のような耳とふさふさの尻尾が付いていた。暗い銀髪で身長は130センチほどで雫よりも少し低い。その容姿はまるで異世界からやってきた獣人のようだった。
「新生物でも、特別じゃない限り生まれて3ヶ月までは人間の子供と変わらないって紅夜さんが言ってたじゃない?」
白ワンピースを着た黒い長髪の雫と呼ばれた少女が言う。
「そ、それはそうだけどさ?」
真神は雫の方を向きながら後ろ向きに歩いている。すると背中が誰かにぶつかった。真神が振り返るとそこには体格のいい中年の男とその後ろに10人ほどの男が立っていた。
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