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「あ、ありがとう…。斎藤君。」
「…俺を知っているのか?」
「あ。ええと…、たまたま!あの、斎藤君は機械やパソコンに凄く詳しいって友達から聞いていたの!だから、それで知っていただけで…、」
慌てて誤魔化す華に斎藤は笑って言った。
「ああ。ごめん。変な意味はないんだ。ただ、俺はあまり目立たないタイプじゃないから同じ学年でも知られていないって思ってたから。君は二宮華さんだよね?」
「えっ…?」
「君はこの大学では有名だから。」
「ゆ、有名?あたしが?」
「自覚なかったんだ。」
斎藤はおかしそうに笑った。その笑顔に華はどきどきした。周りは無愛想だというがそんなの嘘だ。こんなに素敵に笑う人なのに…。
「さっきはありがとう。助けてくれて。怖かっただろうに。」
「う、ううん!そんな…、大したことはしていないから。」
「君はお人好しなんだな。」
「え?そんな事は…、」
「普通はあんな場面を見ても見て見ぬ振りをするものなのに。君は怖いのに僕を助けてくれた。誰にでもできることじゃない。」
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