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そんなある時、
「はあ…。遅くなっちゃった。」
バイとの帰り道、風邪で欠員が出た子の代わりに働いていた華は仕事を終えて、夜道を歩いていた。早く帰宅するために華は近道を通った。路地裏を歩いていると、
「あれー?こんな所に女の子発見ー!」
華はびくりとした。近くの自動販売機に不良が屯っていたことに気づかなかった。逃げようとする華を不良の一人が腕を掴んだ。
「そう怯えないでよ。…お。何だ。結構可愛いじゃん。」
「は、放して…!あっ…!」
必死に抵抗して逃げ出そうとするがそのまま地面に倒れこんでしまう。そんな華を男達が取り囲んだ。
―怖い…!誰か助けて…!斎藤君!
不意に華はグイ、と誰かに身体を引き寄せられた。
「あ?手前、何だ!?」
大きく厚い胸に抱き寄せられ、華は見上げた。
「さ、斎藤、君?」
いつもより、顔が険しく、目つきが鋭い彼に華はびくりとする。彼は華を自分の後ろに下がらせた。背後に華を庇う彼に不良達が嘲笑った。
「おい。おい。何だよ。お前、もしかしてその可愛い子ちゃんの彼氏か?」
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