31人が本棚に入れています
本棚に追加
背は高いがいかにも草食男子といった斎藤を見下し、不良達はそう言った。
「おい。彼氏さんよ。その女をここに置いていくなら見逃してやるよ。さっさと消えな。」
斎藤は黙ったまま動かない。ニヤニヤしながら不良達は斎藤を見やり、
「彼女の前だからって格好つけやがって。そんなに痛い目に遭いたいのかよ。…そうだ。手前をボコボコにしてその後で目の前で俺達がその女を可愛がってやるよ。」
「や、やめて!斎藤君は関係ない!」
反射的に飛び出そうとする華を斎藤が手で止めた。
「大丈夫だ。」
「斎藤君。でも…、」
「おーおー。余裕ぶりやがって。口先だけのモヤシ男が!」
「斎藤君!」
不良の一人が斎藤に殴りかかった。華は思わず悲鳴を上げるが斎藤は不良の腕を掴み上げ、力をこめる。すると、男の腕がボキリ、と折れるような音がした。
「ぎゃあああ!」
手を押さえた男の腕は歪に曲がっていた。斎藤は無感動な瞳で男を見下ろした。
「…煩い。耳に響く。」
煩わしそうにする彼に他の不良が怒り立った。
「手前!よくも…!」
最初のコメントを投稿しよう!