第五章 恍惚と不安

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 そういうと、陸くんはポケットからスマホを取り出し、画面を二三度タップしてから、 私に手渡した。  スマホの画面には、掲示板らしきサイトが表示されている。 「それ、有名な掲示板サイトの『ソラシドレスキューを応援する』ってスレッドなんだ。 最近は、偽の救助要請を見分ける方法について議論されてたんだ。実は、僕も匿名で参加 してた。それでね、昨日の夜に、見分ける方法の解決策が提案されたんだ」 「解決策?」 「救助要請をお互いに検証しあうのさ。救助要請が上がったら、近くにいる人に、検証の 情報を上げて貰う。確かにそんな事故が起きてます。とか、その救助要請は本物。とか」 「ふんふん」 「逆に、天候が矛盾してる。とか、そんな建物は存在しない。とかの情報を貰えば、偽の 救助要請だと分かる」 「なるほど! それなら、区別できるかも」 「完璧じゃ無いけどね。サクラを使って騙す事も出来るし、逆に一人だけで遭難した場合 などは、証明できる人が側に居ないわけだし」 「そうか……」 「でも、何も無いよりマシだよ。それに、相互検証に参加する人が増えてくれば、精度も あがる。今度からは、この掲示板に救助要請を上げて貰う事にすれば良い」  どうやら、道筋が見えてきたように思える。  それに何より、陸くんが離れている間も、ソラシドレスキューの事を考えていてくれた 事が嬉しい。  私の中に、新しい希望の光が燈った気がした。
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