第六章 試練と光明

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 もう一つの進化は、陸くんが念動力を扱えるようになった事。  正確には、私が発動した念動力を、陸くんが横から操作してるといった感じ。  例えるなら、電動アシスト付きの自転車。  動力源のモーターに相当するのが私の超能力で、それを陸くんが運転している形。  これも、私と陸くんが接触しているのが条件。私達は、これをシンクロと呼んでいる。  実際の救助シーンでは、陸くんが助ける相手と対峙する事になる。だから、シンクロは とても役に立つ。  救助現場への飛行も、シンクロを使って陸くんにナビを任せる事になった。  おかげで、私は大分楽をできるようになった。  ******  救助要請が『ソラシドレスキューを応援する』スレに一本化されたことで、救助対象を 探す負担が随分と減った。  その一方で、弊害も幾つか現れてきた。  件のスレに投稿すれば、ソラシドレスキューが必ず見てくれる、となった事で、救助と 関係のない書き込みが一挙に増えた。  サイン下さい。どこに行ったら会えますか?  ピンクの子のスリーサイズ教えて?  二人は恋人同士なの?  お金は払うので、当社のインタビューを受けて下さい。  ソラシドレスキューをアイドルやタレントと勘違いしているのだろうか。  全く、腹が立つ。  その他にも、私達を陰鬱にさせる内容の投稿が増えて来た。  何故、俺の救助要請を無視した!? ○○より、俺の用事の方が大事だろう!  深夜の救助要請に対応しないのは職務怠慢だ。それでも、レスキュー隊か!?  お前らを当てにして、病院に行かずにいたら、傷が悪化した。損害賠償しろ!  言いがかりとしか思えない内容だ。  私達の体は一つしかないので、同時に二か所の救助は出来ない。  私達にも普段の生活があるので、深夜や早朝の出動は難しい。  そういう事は、以前に告知した筈なのに……。
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