第六章 試練と光明

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 と、突然その女性が目を開け、私の手を掴んだ。  それに合わせるように、救急隊員達が私達を取り囲む。 「なに、ナニ、何?」  陸くんと私が呆気に取られていると、校舎の陰から、カメラや棒マイクを持った人達が 駆け出して来た。  ストレッチャー上の女性が、上半身を起こし 「はーい、皆さん。突撃WebTVの槍杉でーす。今日は、ソラシドレスキューの皆様に 突撃でーす」とカメラに向かってしゃべり始める。 「今日は視聴者が一番興味のある点について、突撃取材します」  女が私の手を引っ張る。私はバランスを崩し、女に抱きすくめられる形になる。  女が、私のマスクを引きはがしにかかる。 「止めてください!」私はマスクを押さえて抵抗する。 「止めろ」陸くんが叫びながら、女の腕を掴み、女の指をマスクから離そうとする。  私達を取り囲んでいた救急隊員風の男たちが、一斉に陸くん躍りかかる。  この人たち、救急隊員じゃない! グルなんだ。
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