第六章 試練と光明

11/24
前へ
/221ページ
次へ
――次の橋で振り切る―――  陸くんの心の声が聞こえた。  橋が迫る。  橋の下に向かって降下。が、今までよりも極端に低いコース取りだ。  と、同時に私達を包むバリアが、急膨張していくのを感じる。  水面が近い。危ない!  次の瞬間、私達は川の中に飛び込んだ。  水の抵抗で急減速。  バリヤを膨らませているので、巨大な水柱が上がる。  そのまま180度転回し、水中から飛び出す。  振り向くと、橋を飛び越えたヘリプレーンが、私達のこさえた大きな水柱にぶつかって いた。  私達は、今来た方向に大急ぎで逆戻り。  一つ前の橋と交錯するところで、川から道路にコースを替える。  その道路を少し進むとトンネルがあった。私達はその中に身を潜める。  バロロロロロロロロロ。  ヘリプレーンが戻ってきた。  しかし、私達を見失ったのか、ローター音は次第に遠ざかっていく。  ローターの音が消えてからも、用心して身を隠し続ける。  30分ほど待って、トンネルから外に出た。  念には念を入れ、本来の帰還方向とは反対方向に飛ぶ。  それから、更に、大きく迂回するコースをとって帰路についた。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加