第六章 試練と光明

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 上方に意識を集中しても、落下が止まらない。  超能力が効かない。ど、どうしたんだ?  陸くんにしがみ付き、体を揺する。  ううっ。  陸くんが呻く。  と、同時に落下が減速し、バリアが復活する。 「陸くん。しっかりして!」  呼びかけには応じず、陸くんが再び首を項垂れる。  落下のスピードが増し、バリアが陽炎のように弱々しくなる。  飛ぼうとしても飛べない。私の超能力が働かない。こんなの初めてだ。  陸くんが気絶したから? 陸くんとシンクロしてるので、その影響を受けているのか? 「起きて! 起きてー!!」と陸くんの体を揺する。 「……ああ」  陸くんが目を覚ました。落下が止まり、水平飛行に戻る。 「陸くん! 気をしっかり持って!」  と声をかけたが、返事がない。意識朦朧としているようだ。  ゆっくりと高度が下がり始めた。このままでは地上に落下する。
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