第六章 試練と光明

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――どこか安全で広い場所。出来れば、人目に付かない所に降りないと――  急いで辺りを探す。  あった。左手前方に町の運動公園がある。町内のスポーツ大会などが開かれる場所だ。  人に見られるかもしれないけれど、あそこなら安全に着陸できそうだ。 「陸くん。あそこに下りる」  風に流される風船のようにフラフラと飛行を続ける。  もう直ぐ、運動公園。  運動場が見えて来た。  人が集まっている。  幸いにもステルス状態は維持しているようなので、誰も私達に気が付かない。  このまま、運動場に着地……ができず、そのまま上空を行き過ぎる。  公園内には、重要文化財の変電所跡がある。その建物をギリギリの高さで飛び越える。  その先には、古い貯水塔。  直径数メートル、高さ二十メートル程のコンクリートの塔だ。  その塔に向かって、一直線に進む。  駄目だ! ぶつかる!
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