第六章 試練と光明

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「ハッ」  突然、陸くんが目を開け、上半身を起こした。 「良かった。気がついたのね」 「えっ、ここは?」 「陸くんが前後不覚になったら、迷走飛行して、ここに落ちたの」と今までの経緯を説明 する。 「そうか……。天野さん、怪我はない?」 「私は大丈夫。陸くんは? 痛いところとか、痺れてるとかない?」 「多分、大丈夫」と言いながら、陸くんが自分の胸の辺りを触る。  あっ!  と叫ぶと、陸くんは体の他の部分を手で探り始めた。  陸くんは何かをなくしたらしく、自分の体を探り終えると、周りの地面を入念に捜し始 めた。 「どうしたの?」と問うと 「お守りの首飾りを失くした。5センチくらいの、細くて黒くて、ツルツルした石」  私も一緒になって探してみる。だが、それらしい物は見つからない。  陸くんは、床の端から端、手の届く範囲の壁、塔に残されたガラクタ、隅から隅まで、 懸命に探しつづける。 「大事な物なの?」 「うん。あれがないと、大変なことになる……」
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