第六章 試練と光明

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 *****  そのまま時間が過ぎた。  バササッ。  羽音がして、明かり取りの窓に鳥が止まった。  白いカラスだ。 「ネロ!」陸くんが叫ぶ。  それに呼応かのするように、ネロと呼ばれたカラスはカァと鳴き、陸くんの傍らに舞い 降りた。 「ネロ。僕がここに居ることが分かったんだね。ありがとう、来てくれて」 「その子、ネロっていう名前なの?」 「ああ。前に他のカラスにイジメられて弱ってたところを助けたら、懐かれたんだ」  ネロが陸くんの腕、肩、頭をピョンピョンと飛び回る。 「ごめんなぁ。ネロ。今日は餌を持ってないんだ」  陸くんの言葉に、ネロがカァと応じた。  その様子が、ほほえましく。私の唇に笑みが戻る。 「そうだ。ネロ。僕のお守りを探してくれないかな。この位の大きさで、細くて黒くて、 ツルツルしてる」と手で5センチほどの長さを示す。  しかし、カラスに人語が分かるはずもなく、ネロは陸くんの足元の地面をほじくるだけ だった。
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