第六章 試練と光明

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 でも、言葉は通じずとも、仲間が一人(一羽?)増えたことは、心強かった。  ネロ。ネロ。  と呼ぶと、ネロがピョンピョンと飛び跳ねて、私の方にやってくる。  私の足元に来たネロは、首を右に左に幾度も傾ける。私の顔色を伺っているようだ。  その様子は、何とも愛嬌があって可愛らしい。 「ネロが他の人に懐くのを初めてみたよ。ネロにも、美幸さんの優しさが分かるんだね」  陸くんが、私を褒めるような事を言った。  てか、陸くんが私を下の名前で呼んでくれたのは、今が初めてだ。  そう呼ばれた事が、嬉しかった。  なぜだか、顔が赤らむ。  その事が恥ずかしくて、 「ネ、ネロって、ど、どういう意味なの?」  と、思わず話題を変える質問をしてしまう。 「ネロは、イタリア語で黒の意味だよ」  意外な答えだった。 「白いのに黒?」と問い返す。 「こいつだって、望んで白く生まれて来た訳じゃない。でも、そのせいで仲間からイジメ られていた。だから、せめて名前だけでも『黒』にしてやろうと思ってさ」 「そうなんだ。ネロ……、良かったね、ご主人にいい名前を付けて貰って」  陸くんと目が合う。その優しい眼差しの虜になり、私達は暫くの間、見つめ合った。
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