第六章 試練と光明

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 カァー。バサバサバサッ。  二人の間を跳ねまわていたネロが、一言鳴いて飛びたった。  ネロは、塔の明り取りの窓に一度止まり、そこから、塔内に張られた(はり)に飛び移る。  ネロは梁の上で、何かを啄む動作を繰り返していたが、やがて、陸くんの傍らに、舞い 降りてきた。  その嘴には、陸くんの探していた『お守り』が咥えられていた。  黒くて細長い石。表面はツルツルして鈍く光っている。両端に穴が穿たれて、紐が結び 付けられている。その紐で首から下げるだろうが、残念ながら切れていた。 「ありがとう、ネロ。お守りを見つけてくれたんだね!」  陸くんが歓喜の声をあげる。  陸くんが、お守りを首にかけ、後ろ手で紐を結ぼうと試みる。 「私が結んであげる」と手を貸した。 「ありがとう。美幸さん」  陸くんが立ち上がり、 「さあ、帰ろう」と帰還を促す。 「でも、わたし、超能力は使えないよ」 「もう、使えるようになってるんじゃないかな」 「?????」 「えーと、その……。このお守り、ラッキーアイテムだから」 「(ますます)?????」 「と、とにかく、一度試してみよう」  そういわれて、陸くんとともに離陸準備の態勢に入る。 「じゃあ、行こう」と陸くんに促され、半信半疑のまま、飛行のイメージを作る。  フワリ。  体が浮いた。  やった。超能力が戻った。  そのまま、貯水塔内を上昇し、明り取りの窓をくぐって外に出る。  久方ぶりの外の空気だ。みずみずしくて、美味しい。  いつの間にか、日が大きく傾いていた。
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