第四章 ソラシドレスキュー

5/20
前へ
/221ページ
次へ
 陸くんの発案で、翌日から救助活動の予行演習をする事になった。 飛行訓練)  まず、空を飛ぶこと。  救助現場に急行するためには、歩いてなど行けないので、空を飛ぶことになる。  練習場所は、学校近くにある神社跡だ。小山の天辺にあり、木立に囲まれているので、 誰かに見られる心配はない。  念動力で体を浮かせることは実験済みなので、その応用で二人して空を飛ぶ。  問題は、私が超能力を強く正確に発動させるためには、私と陸くんが直接に触れ合って いる必要があること。  初めに、二人が横に並ぶ方法を試してみた。  私と陸くんが横に並び、手を握る。  空中に浮かぶイメージを思い描く。体が宙に浮く。  次に、空中を泳ぐイメージを思い描く。体が地面に平行になる。  顔を前方に向け、前進する自分の姿をイメージする。体が空中を移動する。  飛ぶこと自体は、割と簡単に出来た。  だけど、横に並んで飛ぶ方法だと、飛行のコース取りが難しい。陸くんの姿は、視界の 一部にしか見えないので、陸くん側の距離感が掴めないのだ。調子にのって飛んでたら、 陸くんが木の茂みに突っ込んでしまった。  次に二人が前後に並ぶ方法を試した。  陸くんが前、私が後ろに立ち、私が陸くんの腰の辺りに手を添える。  先ほどと同じ要領で、空中を飛んでみる。  こちらの方が、圧倒的に飛びやすい。陸くんが視界の中にいるからコース取りし易い。  何より目の前に陸くんが居るおかげで、安心感が持てる。目の前に、遥か彼方の地面が 広がっていたら、高所恐怖症でなくても心臓が縮みあがった事だろう。  このあと、私が前になる飛び方を試そうとしたんだけど、陸くんが私の腰に手を当てる のが恥ずかしくて出来ないと言うので、取りやめになった。陸くん、意外と純情だ。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加