第四章 ソラシドレスキュー

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 準備万端整った。  あとは、レスキュー活動の機会を待つだけ。  とは言っても、救助される側にとっては災難だ。他人の不幸を待っているようで、気が 引ける。  高校生の身なので、ソラシドレスキューとして活動できるのは、放課後か休日だけだ。  それもあって、なかなかレスキュー活動の機会が得られぬままに、夏休みになった。  夏休みなら、レスキュー活動できる時間が増える。  期待に胸を膨らませて、毎日AI部に出勤する。 「AI部って、何をやってるの? そんなに忙しいとこなの?」  連日登校する私を訝って、お母さんがこんな事を尋ねて来た。 「毎年テーマは変わるけど、今年は自分達でスマートスピーカーを作る事になってる」  と答えると 「あぁ、そのAI……」  と母は応じたが、果たして分かっているのか? 「シーちゃんやアッキーも一緒だから、心配しないで」と言うと、安心(?)してくれた ようだ。  ゴメンなさい、お母さん。今言ったのは、方便なんです。  でも、私は疚しい事はしていません。人の役に立つことをしようとしてるんです。  どうか、見守っていてください。
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