第四章 ソラシドレスキュー

13/20
前へ
/221ページ
次へ
 旧部室棟の裏口から外に出る。ここは塀と建物に囲まれて、人目が届かない。飛び立つ には、うってつけの場所だ。 「準備オーケー?」とシーちゃん。 「目的地は覚えたか」とアッキー。 「うん。頭に入ってる」と陸くん。 「じゃあ、出発する」と私。だんだん緊張してきた。胃の辺りがキリキリする。 「遂に来たね」 「うん」 「緊張してる?」 「うん」 「無理しないでね」 「うん」 「恐くなったら、帰って来て良いんだよ」 「うん」 「なんか、して欲しい事は?」 「あの、緊張で震えが止まらないから、一回ハグしてくれない」 「分かった」  シーちゃんが、力強く私をハグする。 「美幸なら出来る。美幸なら出来る」シーちゃんが耳元で暗示の言葉を繰り返す。  それで漸く私の震えも収まった。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加