第四章 ソラシドレスキュー

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 景色の様子が変わって来た。建物が減り、水田や緑が増えてきた。 「もうすぐだよ」と教えられ、速度を落とし、高度を下げる。  川に沿って飛ぶ。水嵩が多いのが、上空からでも見て取れる。 「あれだ」と陸くんが指さす。  川幅が広くなっているところがある。  川に平行に並ぶ道路に救急車両が沢山集まり、人だかりが出来ている。  上空をマスコミのヘリが旋回している。そのヘリを避けながら降下を続ける。  泥色の激しい流れの中、八畳ほどの中州に10人の大人子供が身を寄せ合っている。  両岸には20人ほどのオレンジ服のレスキュー隊員と思しき人たちが作業をしている。 川の流れに対し斜めにワイヤーを張り、中州に渡ろうとしているが、流れが急なためか、 動きが取れずにいるようだ。 「中州に降りよう」陸くんの言に従い、中州に着陸する。  取り残された人たちが、驚きの顔で私達を見つめる。  突然、空から人が現れたのだから、驚くのも無理はない。  三人の大人に、子供たちが纏わりつく様にしがみ付く。 「き、君たちは。……何なんだ」年かさに男性が尋ねてきた。  私は、相手を怖がらせぬよう、静かに落ち着いた声で話かける。 「私たちはソラシドレスキューです。皆さんを助けに来ました」 「助ける?」 「はい。これから一人ずつ人を運びます。お子さんから先に運びますので、順番を決めて 下さい」
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