第四章 ソラシドレスキュー

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「運ぶ? 順番?」  正体の知れぬ覆面の人物から、助けるから順番を決めろ。などと言われても、直ぐには 反応出来ないのだろう。大人たちは逡巡した顔を見合わせる。  お前たちー。何をやっているー。  川の両岸から、レスキュー隊員の叫ぶ声が聞こえてくる。水量が増えたのか、残された 中州の面積がジワジワと少なくなっている。 「わたしが最初に行きます」小学校3・4年生と思しき女の子が一歩前に出る。  ちょっと待て。本当に大丈夫なのか。リーダー格の大人が躊躇する。 「大丈夫です。僕達を信じてください」と陸くん。  私は、女の子の前にしゃがむ。 「あなた、お名前は」 「マキ」 「マキちゃんね。じゃあ、このお兄さんに掴まっててくれる」  陸くんが膝を折り、女の子を抱き抱える。 「マキちゃん。僕にしっかりと掴まっててね。怖かったら、目を瞑ってていいからね」  女の子が、陸くんにヒシとしがみ付き、目を閉じる。  陸くんが私に目で合図を送る。陸くんの後ろに回り、陸くんの腰に手を添える。  飛ぶ。の掛け声とともに、三人の体が地上を離れる。  1メートル程の高度を維持しながら、川の上を慎重に移動する。ゴーゴーという流れの 音が恐ろしい。  川を渡り切った。  川岸にいるレスキュー隊員にマキちゃんを引き渡す。
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