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ソラシドレスキューが活動を開始して一週間。
方々で、色々な種類の活動をしている内に、その親しみやすさのせいなのか、ちょっと
これは、と思うような救助要請が出始めた。
寝坊して、飛行機の時間に間に合わないので、空港まで運んで欲しい。
キャンプで出たゴミを運ぶのが煩わしいので、代わりに処分して欲しい。
こちらは、真剣に活動しているのに、こんな不埒な要請は救助に値しない。
四人とも同じ意見で、無視する事に決まった。
*****
そんな中で、事件は起こった。
飼い犬が、獣の罠に嵌って木から宙吊りになっている。
そんな救助要請があった。
いつもの通りに陸くんと一緒に現場へ飛ぶ。
救助要請と共に送られて来た位置情報を元に、GPSで目的地を探す。
SNSで救助要請が来るようになってから、GPSを活用する方針にしたのだ。
「何か変だな」
目的地に近づいたところで、陸くんが声を上げた。
「何が?」
「飼い犬が、獣の罠に嵌ったって話だけど、目的地近くなのに、まだ町中だ」
たしかに鄙びた街並みではあるけれど、山の中ではない。こんな所に、獣など居るのだ
ろうか?
「あの辺りだ」
陸くんが指さす先に学校らしき建物が見えた。校庭は雑草が生えるがままに生い茂り、
校舎の窓ガラスは全て目張りがしてある。廃校なのだろうか。
スピードを落として、慎重に近づくと、校庭の端で手を振る人物の姿が見えた。
その人物の側に、ゆっくりと着地する。
二十歳前後で、原色の派手な服装をしている。
その青年が、スマホで私たちの様子を撮影しながら近づいてくる。
「おぉー。スゲー。マジっ。ホントに来やがった」
と、のっけから嫌な言葉をかけてきた。
「あの。飼い犬が罠に嵌ったって話ですけど……」と問うと
「ああ、あそこ、あそこ」と青年が指をさす。
そこには、旗を掲揚するポールが立っており、その先端部には籠のような物が括りつけ
られていた。よく見ると、その籠から犬が顔を出している。
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