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「こいつだ。僕らを騙したのは」スマホを弄っていた陸くんが声を上げた。
どれどれ、とアッキーが陸くんのスマホを覗き込む。
「ひでぇな、こいつ。最低のカス野郎だ」とアッキーが吐き捨てる。
その言葉に私の涙が止まる。
顔を上げ「私にも見せて」と陸くんに告げる。
「天野さんは、見ない方が良いよ」
「見たいの」
「でも……」
「お願い」
私の言葉に、陸くんが渋々とスマホを渡してよこす。
そこには「英雄気取りはチョロイ奴w」とタイトルされたブログが表示されていた。
正義の味方ズラしたソラシドなんとかがムカつくので、嵌めてやった。
という文章から始まり、私達を騙した顛末が事細かに書き連ねてある。
私達を間近で撮影した動画もアップされている。
私達が飛び去って行く動画には『尻尾を巻いて逃げるタコw』の表題が付いていた。
それを見て、私の涙は引っ込んだ。
泣いていてはいけない。こんな人に負けてはいけない。そんな気持ちが湧いてきた。
「私は……、負けない」
その思いが言葉となって口をついてでる。
「そうだよ。こんな人達に負けないように、頑張ろう。私達」シーちゃんが同調する。
「そうだ。そうだ。こんな奴ら、無視すりゃ良いんだよ。俺らを理解してくれている人は
大勢いる。その人達のためにも今まで以上に頑張らないと」
アッキーが力強い賛同の言葉を打ち上げる。
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