第五章 恍惚と不安

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 一時の悲しみが、次なる一歩を踏み出す勇気に変わった。  私とシーちゃん、アッキーが右手を三段に重ねて結束を誓う。  当然、その輪に参加するものと思って、陸くんの方を見やる。  しかし、私がそこに見たのは、陸くんの冷めた瞳だった。 「陸くん」と声をかける。  ふうーっ。と大きな息を吐き出し、陸くんは思いもよらぬ台詞を私達に投げつけた。 「もう、止めにしないか。こんな事」  えっ!? 三人が驚きの声を上げる。 「おい。それ、どういう意味だよ、佐藤」アッキーが気色ばる。 「ソラシドレスキューを止めようって、話」 「なんでだよ。一回騙された位で弱気になったのかよ? 俺たちの活動は、大勢の人達に 支持されているんだ。こんなクズ野郎の一人や二人、無視すりゃ良いんだ」 「本当にそうか?」 「ああっ?」 「こいつのブログに対するコメント見てみなよ。大部分は、『消えろ』とか『クズ野郎』 とかいった否定的なコメント。その一方で、『うp乙』とか『草不可避』とか、こいつを 肯定してるようなコメントもある」 「……」 「『ソラシドキモ』『ピンク女のヒス藁』なんてコメントもある。これ、明らかに僕らに 対する中傷だよね」
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