第五章 恍惚と不安

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   *****  ハッとして、ベンチで目を覚ます。  ほんの少しの休憩のつもりが、一時間ほどうたた寝したようだ。  シーちゃん達は探索を続けているだろうに……。ごめんなさい。  二人からの連絡はまだない。あちらでも、捜索が難航しているのだろう。  私も、陸くん探しを続けないと。  そう、思って立ち上がったとき、目の前の電線に思いがけない物を見つけた。  白いカラス。  私が、初めて超能力を使った日、陸くんの肩に止まっていたカラスだ。  このカラスの後をついていけば……。  カラスの飛び立つのをじっと待つ。  飛んだ!  すかさず後を追う。見失わないよう、全力で走る。  家の屋根の向こうに回った。大急ぎで、追いかける。  住宅街の中を、カラスを追って走りまわる。  流石に鳥と人間の足では競走にならない。屋根を幾つか超えた辺りで見失った。  駄目か……。  そう思いながら、カラスの消えた辺りをトボトボと歩いていると。  カァー。とカラスの鳴き声が聞こえた。
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