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声の方を見る。
居た。
二階家のベランダの手摺りに白カラスが止まっている。
と、次の瞬間、ベランダの奥のサッシの扉が開き、陸くんが姿を現した。
陸くんは手摺りに止まる白カラスに、餌のような物を与えている。
ここが、陸くんの家なんだ。
「陸くん」とその名を叫ぶ。
私の声に気が付いた陸くんと目が合う。
陸くんは、いかにも迷惑そうな顔をして、扉の奥に引っ込んだ。
私は小走りで、その家の玄関に回る。
インタホンを押すと、暫くして、優しい顔の小柄な女性が現れた。陸くんのお母さんに
違いない。
「私、陸くんの同級生の天野美幸です。陸くんにお話しがあって伺いました」と用向きを
告げる。
「あら、まあ、それは。さあ、どうぞ、どうぞ」と玄関に招じ入れられた。
小ざっぱりと纏まった綺麗なお宅だ。
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