マスターはお見通し

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そうして次の年に結婚して夫婦として迎えたバレンタイン。俺達はバーを訪れた。 今日は他にも客がいて、結構賑わっている。カウンターがちょうど2席空いておりそこに彼女と座った。 カウンターの向こうではちょびひげのダンディでスマートなマスターがシェイカーを振るっていて。 俺を覚えていたのだろう。マスターは彼女をチラリと確認し、俺たち2人へ微笑みをひとつ落とした。 「ご注文はお決まりで?」 きっと分かっていて声をかけたのだろうと感じられる眼差しに、彼女と視線を1度交わして伝えた。 「二人分のアポロをお願いします。」
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