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まず彼女と出会ったのは高校1年のときで、同じクラスで同じ部活だったんです。
新入部員の自己紹介の時に、男子と同じくらいのベリーショートでキリッとした雰囲気のあるカッコイイ子だったんでクラスでも印象に残ってたんです。ここで彼女の名前を覚えましたね。
「涼宮 凛です。」
ハキハキと大きい声で、名前までカッコイイ女子だなって。
それで彼女の方も俺が同じクラスにいた事に気づいたのか、彼女から話しかけてきてくれて。
「同じクラスの瀬尾 翔太君だよね?」
なんて、名前や見た目の雰囲気をいい意味で壊す人懐っこい彼女は笑ってそう言ったんです。
五十音順で『す』と『せ』でしたから、出席番号前後で、もちろん席も前後だったんですよ。
まぁそれもあったんでしょうね。それからよく彼女と話すようになって、一緒に過ごす時間も増えて、ホントに女友達では一番仲良かったですね。
でも仲が良かっただけでその時は付き合うとかじゃなくて、いつも一緒にいても苦にならない友達みたいな、性別を意識してない感じでしたね。
変わったのはバレンタインの時で、彼女ね、笑えるくらいモテるんですよ、女子から。朝から同じクラス、違うクラスに部活の先輩方まで放課後、部活が終わるまで貰いまくってましたね。
だから俺も冗談交じりにコンビニでチョコ買って、方向が途中まで同じだったんで大体一緒に帰ってたんですけど、帰りに俺も渡してやろうとカバンに忍ばせてたんです。
でもいざ帰ろうと思ったら彼女が居なくて、教室に何か忘れ物でもして取りに行ったのかと教室を覗いてみたらやっぱりそこに彼女がいて。
いつもの様に声を掛けようと思ったんですけどね、なんか、感じが違うんですよ。彼女の席で、机の上のおっきい紙袋っていうか中に溢れてるチョコをぼぉっと見つめて立って動かなくて、思わず傍によって声を掛けたんです。
出来るだけ優しく、気遣う様に意識して。
のぞき込んだ彼女は俺に、っていうか人が近づいたのにやっと気付いて、ハッと顔を上げたんですけど、俺だと分かったらヘナっとイスに座って言ったんです。
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