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「女の子ってさ、勝手だよね。気持ちだけ押し付けて、渡すだけ渡してはい終わりって。皆に渡してる内のどれでもいい、どれかの1つ。」
別に嬉しくない訳じゃないんだけど、普通にこの量は食べきれないし、何個かダメにしちゃうんだよねー。
呆れた様に、いや諦めたように笑みを零した彼女は袋を抱き寄せて顔を隠すとなおも続けて。
「………私がチョコを渡した時、そのチョコを渡した相手が私みたいに感じたらって思うとね、怖くなるのよ。私の為だけに用意したわけじゃないんでしょ?って」
ポツリポツリといつになく弱々しい声色で吐き出された言葉達は、彼女の存在すら弱らせていくようで、あの時の俺は必死でしたね。ふざけてる訳でなく、彼女が消えてしまうと思ったんです。
「涼宮から貰ったら俺、嬉しいよ。それに相手がどう思うかで不安になるなら、というかあげた後チョコがどうなるか気になるなら、一緒に食べればいいんじゃね?」
自分のカバンを漁って、チョコを取り出して、パッケージ空けて。今なら恥ずかし過ぎますけどね。
「涼宮、口開けて、ほら、あーん」
突然過ぎてビックリしたのか彼女、素直に口開けて、俺は取り出したチョコを放り込んだんです。目を白黒させてる彼女は可愛かったですね。じゃなかった、それで俺は彼女に言ったんです。
「これさ、まぁ涼宮が貰いまくってるのみて半分くらいネタで買ったんだけど、涼宮がイチゴ好きなの知ってるからコレなら喜ぶかなって涼宮を思って選んだの」
自分でも答えになってないし、色々違うような気もしなくは無かったですけど本当に必死だったんですよねー。とにかくいつもの彼女に戻って欲しくて。まぁいつも通りどころか全力で恥ずかしがってましたけどね。
「物だけ残るから虚しくなるんだよ、きっと。それも一緒に食べようぜ、多分2人なら食べ切れるって、まあ無理なら涼宮の家族に協力してもらえよ。」
それで袋いっぱいのチョコを一緒に食べて、サラっと彼氏になってくれる?って言われて付き合って。
今23歳なんですけど高一から今までずっと付き合ってるんです。
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