さよなら

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日曜日。天気予報では雨だといっていたけれど、かろうじて降ってはいないようだ。どんよりとした雲が空を覆っている。 「それじゃあ、とりあえず観にいこうか」 妻に促され、僕は車を最寄りの家電量販店に走らせた。15分ほど、そんなに遠くはない。買い物はそこまで好きではないが、電化製品は嫌いではない。むしろ、ネットサーフィンでは新商品をよくチェックする方だ。 空を見上げて、僕の晴れない気持ちみたいな天気だな、そう思った。 週末の家電量販店は思ったより混んでいた。家族連れがテレビやらパソコンやらを見ている。 「折角なら大きいのがいいよね」 妻はワクワクといった感じで冷蔵庫売り場に向かっていく。売り場には新品の冷蔵庫特有の人工的な臭いがしていた。 「どういうのがいいかな?」 ニコニコと妻はこちらを見る。 「そうだなあ、黒いのとか?」 「なんで色なの。両開きとか大きさとか!」 「ああ…」 進んでいく妻についていくことにする。 最近の冷蔵庫はすごいらしい。チルド段階が選べたり、作り置き用の場所があったり。冷蔵庫ひとつとっても時代は進むな、と思わされる。
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