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あ、これはもう絶対に人間じゃないって確信して、あたしもう悲鳴すらあげられないまま慌てて車に乗って逃げてきたんだ。
もうさ、運転中もそれがついてきてるんじゃないかって滅茶苦茶恐くて、人のいる所に出るまでバックミラーとか横の窓とか全然見れなかった。
「……本当に、今思い返してもあれが何だったのかわかんないんだよね。このとき以来、夜の山は恐くなってさ。今はもう天体観測とかにも行けなくなっちゃったよ。あの光る目と低い声思い出しちゃうから」
「それさ、たまたま変態が隠れてたとか、そんなオチなんじゃないのか?」
「ううん、絶対にそんなんじゃない。仮にそういう変な人が正体だったとしても、あんな草藪の中を早足で歩くあたしと同じスピードで移動できるはずないもん」
幽霊などを一切信じない俺からすれば、どうせ悪戯か何かだろうとしか思えなかったのだが、従妹は俺の言葉を真面目な顔で否定した。
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