兄妹

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兄妹

「ほらよ」  無くしていたと思っていたボールペンは兄が簡単に見つけてくれた。 「ありがとう! 何処にあったの?」 「机と棚の隙間。お前使い終わったペンはすぐ筆立てに入れとけっていつも言ってるだろ」  外出の準備をしつつ説教する兄に謝罪と共に今日の昼食を渡す。今は抹茶味にお熱らしく、鼻歌混じりに新品の爪楊枝を腰に差した兄は、窓のブラインドの隙間から出ようとしている。 「言ってくれたらドア開けるのに」 「妹に面倒かける兄がいるかよ」 「はーい、いってらっしゃいお兄ちゃん」  ――五年五組。●●。私のお兄さんはとってもしっかり者の、身長十センチの小人です。
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