81人が本棚に入れています
本棚に追加
聖衣のルカはその様子を覗き込むと
この期に及んでまだ不確かな道徳心にしがみつく僕を憎らしげに見下ろした。
すると――。
「あ、何をっ……」
身を屈め僕の手首を持ち上げると同時
針のように尖った歯先を僕の手の甲に突き立てた。
「ンッ……!」
別の箇所の鋭い痛み。
反応して身体が反り上がると
否応なく薫を奥に招き入れる形になる。
「ンンアッ……!」
「逆らわないでいい――君は十分いい子だよ」
ルカは言うと――僕の手の甲。
ぷっくりと丸みを帯びた血の玉に唇を寄せる。
「僕の一番欲しいものをくれるんだ。君のために僕は何度だって神に祈ろう」
そして――。
「ウゥッ……アアッ……!」
ズブズブと兄に貫かれる僕の身体を見つめながら
スープでも試食するようにその血を吸い上げた。
最初のコメントを投稿しよう!