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「そんなに揺れちゃダメだ――いいか、ゆっくり。君を殺したくはない」
尖った歯を見せルカは薫の後ろに回り込んだ。
鳶色の巻毛を掬い上げるようにして
汗で湿った首筋に舌を這わせる。
聖職者と巻毛のキューピッド。
あたかもバロック絵画のような美しい光景に
僕は思わず息をのんだ。
薫の動きが緩慢になった。
「よし、いい子だ」
次の瞬間――。
ルカは顔を真横にして
薫の首筋に慎重に歯を立てる。
「ウ……アアッ……!」
薫は胸の前で両手を組むと祈るような形で
背中を弓なりに反らせ喘いだ。
反乱は突然だった。
薫は尖った瞳を見開くとルカを見据え
唐突に大きく腰を突き上げたのだ。
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