81人が本棚に入れています
本棚に追加
「え……?」
「イヤァァ……!」
繋がった部分が僕の中に深く沈むと
天井に向かって抉るように刺し貫いた。
「どうして……どうしてだ……?」
同時に薫の首筋からは夥しい量の血液が
白い裸体を流れ落ち事態の悪化を告げる。
ルカは目に見えて青ざめた。
己の凶器が薫の動脈を深く傷つけたのは
自分が一番よく分かっていたのだろう。
「俺は……曲の終わりのリタルダンドが嫌いでね……」
朦朧として微笑むように薫が洩らした。
「自分のリズムで終わらせるさ……アッチェレランド……上等だ。」
曲の終わり――。
それが何を意味するか今になってようやく分かる。
やっぱり薫をルカのところへ連れてきたのは間違いだった。
薫はこの男の前に来ると――無条件に死にたがるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!