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「お兄様っ……もうやめましょう。早く病院へ行かないと死んじゃうっ……」
僕は足掻いた。
しかし依然として貫かれたまま。
「これは……復讐なんだ」
薫は首を横に振る。
もともと青白い顔が見る間に血の気を失ってゆく。
「復讐……?」
「そうさ。おまえの上で腹上死するなんて誰にとっても復讐だろ?」
孤独なニヒリストは
こんな時まで皮肉に笑って
「アァッ……!」
再び僕の中に熱い杭を打ちつける。
「憎らしい我が家の双子、善意の塊みたいな九条敬も俺は苦手だった。それから地獄で会うだろうおまえの父親――」
声が細くなる。
「おまえの父親……血の繋がった我が子が俺に犯されたと知ったら激情するだろうさ!あの狸親父も……」
「薫お兄様……しっかりして」
痙攣に似た鼓動の高鳴り。
快感の所為だろうか?
快感の所為ならいい――。
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