episode247 アッチェレランド

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「うわあ、見たかい?ナイスコントロールだね、僕」 こんな時に現れて 平然とこんなことできる人――誰だか決まってる。 「やあ、オフィーリア。なんて無様な格好だ」 「椎名さん……!」 椎名涼介は悪態をつきながらやってきて チラリと瀕死の僕らを横目で見るや 「これで傷口を塞いでいなさい」 随分キッチュなリンゴ柄のポケットチーフを放ってよこした。 MADAM SIINA――彼のお祖母様デザインのものだ。 「いいか和樹?思いっきり強く抑えてるんだ。でなきゃ白雪姫が死んじまう。君の前を拭うのは後だ。分かったか?」 本当にこんな時でもこの人は 安穏と僕に笑って見せるんだから。 「……分かった」 でもそれで僕もなんとか 血を流してぐったりした兄の身体を 押しのけるだけの落ち着きを取り戻した。
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