81人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そいつは俺の獲物だ」
一方ルカの方は――。
異様な興奮状態のまま
肩口を抑えて立ち上がると
「邪魔をするなっ……!!」
文字通り――牙をむいて侵入者を威嚇する。
逆立つブロンド。
野生獣のように光る瞳。
そして口端を真っ赤に汚して吸血鬼は吠えた。
「そうは言われてもねえ」
その異様な姿に動じることもなく
椎名涼介は前進してゆく。
「天宮家の兄弟を見殺しにすると後が怖いんだ」
誰のことを考えているのか想像はつく。
だけど無謀だ。
「椎名さん、危ないっ……!」
荒ぶるモンスター相手に
丸腰で突進していくなんて――。
2人はついに向かい合って対峙する。
「ウアァァァァ……!!」
ルカは胸元の逆さ十字を握って吠えると
ローブを翻し眼前の敵に飛び掛かった。
最初のコメントを投稿しよう!