episode247 アッチェレランド

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不器用な手つきで止血する僕は 真っ赤に染まるリンゴのチーフを持ってあわあわするばかり。 「どれどれ」 椎名さんは踵を返すと平気な顔でやってきて スカーフを持ち上げ出血箇所を確認する。 「なるほど」 僕なんかチーフを捲ることもできないのに。 この冷血人間は――まじまじと傷口を直視して頷いた。 「大丈夫。人が死ぬほどの出血はこんなもんじゃないから」 「はあ……?!どうしてあなたにそんなこと分かるんですか!」 この人が言うからには到底嘘とも思えない。 だからと言って信用できたものでもない。 「こんな時に余計な詮索はやめたまえ」 「薫お兄様……本当に……死んだりしない?」 「でもま、グズグズしてる時間はないな」 それはさすがに僕にも分かった。 いつ狂った吸血鬼が起き上がるや知れないし。 薫の状態もいつ急変するや知れない。
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