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「僕がどうやって君たちの危機を察したかって……察したわけじゃないんだ」
椎名さんは肩をすくめて白状するように言った。
「たまたまさ」
「たまたま?」
「ああ。たまたま見てたんだよ。家で」
「家で見てた?全く意味が分からない!」
ますます混乱した。
「まあ、聞けって」
取り乱す僕を落ち着かせようと
まずは手を握り椎名さんは先を続けた。
「僕が見てたのはつまり――配信された動画だ」
「動画……?」
「僕が思うに『善意の革命』に不信感を持った誰か――マスコミかもしれないし、信者の誰かかもしれないが――その誰かがあの部屋にカメラを仕掛けていたんだろう」
「それじゃ……」
「君らが地下室でしてた事はリアルタイムで配信されてた」
なるほど。
頭では理解できた。
「そんな!嘘!……嘘に決まってる……!嘘でないとっ……まずいでしょ……?」
だけど心は何とかして否定したがった。
当然だろ?
死活問題だ。
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