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「論より証拠か」
椎名さんは胸元から取り出した携帯の画面を
あきらめ半分な顔して僕の方へ向けた。
再生ボタンを押すと
すぐに画面は先刻の薄暗い地下室にいる僕らを映し出す。
「っ……!」
僕はほぼほぼ絶句した。
始まりは唐突で僕らはすでに69の体勢を取っていた。
「なあに、こっから10分足らずの短い動画さ」
多分励まそうとして言ってるのだろうが。
「時間の問題じゃありません」
「そう?」
「ここからの10分で僕、どんな酷いことが起こるか知ってるからね!」
ああ、そうさ。
十分に人生を破壊しうる10分間だ。
「残念。僕はこの時点で車に飛び乗ったから実はまだよく見てないんだよ」
「椎名さん!」
にやけ顔で画面をのぞき込む
椎名涼介の手から携帯を奪った。
でも操作に慣れていないから
『ンッ……アアンッ……お兄様っ……きもちいい……!』
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