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「ちょ、何してるの!」
「うわぁぁん!早く音消してくださいっ……!」
静まり返った病院の待合室で
ボリュームボタンに手をかけてしまう始末だ。
「ったく……」
椎名さんは僕の手から携帯を引っ手繰ると
なんとか妖しい嬌声を抑え込み汗を拭った。
「ま、ご覧の通り?これだけ破廉恥な内容だし、すぐに動画サイトからは姿を消すだろうがこのご時世拡散は避けられない」
「というと?」
画面の中ではルカが僕の手から血を吸い上げ
薫が僕の中心から違うものを吸い上げるとこだった。
「可哀相だがこの動画は――すぐにお兄様たちの目にも触れるだろうな」
「ああ、神様!」
つい先刻悪魔と契約したばかりなのに。
皮肉にもつい口をついて出た。
だけど知ってる。
神の使者は僕らを裸にして血を吸うし
神の子らは欲望や復讐のために交わる。
それが僕らの住む世界なのだ――。
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