episode247 アッチェレランド

5/30
前へ
/30ページ
次へ
思いのほかはにかんだ声を洩らしてしまった。 正直僕は薫がここまでするわけないと思っていたから。 だけど予想に反して 初めての唇が――。 「んっ……」 欲深い蜜を湛えた僕の先端を躊躇いがちに啄ばんだ。 そこからは――。 今まで抑え込まれていた僕の欲望が 自分でも怖いくらいにヒートアップした。 「ック……アア……」 僕の赤い唇はすぐに応えて 張り詰めた薫の分身を根元まで飲み込んだ。 夢中で味わい首を振ると 少しずつだけれど薫も応えてくれる。 もう大丈夫だと踏んだのかルカがそっと身を引いた。 それで――完全に密着した。 重なる花びらのような形で僕らは 急速に欲望に身を任せた。 「すごいな」 ルカの口からかすかに蔑んだ笑い声が聞こえても。 僕らはもともと耳なんてなかったみたいに 今やどちらも何も聞き入れなかった。 ルカが黙るとただ荒い息遣いと いやらしく爆ぜる水音が重なり合って部屋を満たした。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加