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「ンッ……ンンッ……」
さすがは音楽家。
薫は僕の好きなリズムをあっという間に習得してしまった。
あとはそう。
練習曲を繰り返し弾くように
何度も何度も調整しては弾き直す。
実に薫らしいやり方だった。
どうにかして先に陥落させてやりたい。
僕より情けない声で啼かせてやりたい。
その一心で僕も励んだ。
いつしかラグの長い毛足が
汗ばむ身体に絡みつく。
「ああ……きもちい……」
しかしそれすら快感だった。
ルカにとっても僕らが積極的に混ざり合う
この様子を目の前にして舌なめずりしていたはずだ。
奴が求めていたのは真に融合した瞬間。
善と悪。
生と性。
薫と僕――。
「もういいでしょう?頂戴……」
望んでいた欲望が
ついにひとつになる時が近づいていた。
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