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バカだった。
先に陥落させてやろうなんてさ――。
「アアッ……ダメっ……!」
薫は飢えていた。
普段は感情を見せないから分からないだけだ。
概してクールな人間だと思われているが
決してそうじゃない。
だからこれは
おしゃぶりを与えられた赤ん坊と同じだ。
口さみしい。
だから無心で放そうとしない。
「ンッ……ンンッ……!」
身悶え仰向けになってしまった僕を
体勢を変え覆いかぶさるようにして薫は抑え込む。
唇だけは放そうとせず
まだ熱心な口淫は続いていた。
ああ――これは――ルカの吸血と一緒だ。
ラグの上、身をよじりながら
息をひそめる吸血鬼を見た。
ルカは神聖ささえ湛えた優しい瞳をして僕に笑いかける。
その瞬間僕は抵抗するのはやめた。
薫の柔らかい巻毛に指を差し込んでもみくちゃにする。
「アッ……アアッ……出ちゃう、出ちゃうよ、お兄様っ……」
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