episode247 アッチェレランド

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バカだった。 先に陥落させてやろうなんてさ――。 「アアッ……ダメっ……!」 薫は飢えていた。 普段は感情を見せないから分からないだけだ。 概してクールな人間だと思われているが 決してそうじゃない。 だからこれは おしゃぶりを与えられた赤ん坊と同じだ。 口さみしい。 だから無心で放そうとしない。 「ンッ……ンンッ……!」 身悶え仰向けになってしまった僕を 体勢を変え覆いかぶさるようにして薫は抑え込む。 唇だけは放そうとせず まだ熱心な口淫は続いていた。 ああ――これは――ルカの吸血と一緒だ。 ラグの上、身をよじりながら 息をひそめる吸血鬼を見た。 ルカは神聖ささえ湛えた優しい瞳をして僕に笑いかける。 その瞬間僕は抵抗するのはやめた。 薫の柔らかい巻毛に指を差し込んでもみくちゃにする。 「アッ……アアッ……出ちゃう、出ちゃうよ、お兄様っ……」
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