幕前

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 だが、帝王は知らなかった。  一人の、いや、一柱の[小さな]巫女が、その一部始終を目撃していたことを……  ――[邪悪の権化]が、私の[身体]を悪用しようとしている……  しかし、[小さな]自分では、それを止めることは出来ないことも知っていた。  故に、この場より密かに脱出するより他はなかった。  ――誰か、あの[邪悪なるもの]を止められる者を探さなければ……  巫女は走る。  自らにとり、広大な地を――  やがて、巫女は力尽き、倒れた。  しかし……  ――邪悪なる企みを止めたい……その為の助けを呼ぶまでは……  その思いは、変らない。 ――今、倒れるわけにはいかない!  それはやがて、ひとつの言葉となった。
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