理亜という少女

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理亜という少女

 北関東――口の悪い者からは南東北とも呼ばれる田舎の片隅――  宇宙の都とも読める県庁所在地から程良く離れ、見渡す限りの田園地帯に囲まれた、自然豊かなと言えば聞こえの良い、平たく言えば何もない、有るとすれば農業系のホームセンターと、浪漫あふれる温泉が売りの保養センターくらいだろうか……  交通の面で云えば、鉄道が通ってはいるものの、単線の上、一両編成で本数も少ない。  バスもまた然り、である。  一応、工業団地があり、大手の自動車工場があるおかげで、財政は潤っていることが救いであり、それもあってか、現在は県庁所在地が強く押し進めている新交通システムの駅を誘致するべく、奮戦している。  そんな片田舎の小高い丘に佇む、歴史だけは無駄にある県立高等学校が、この物語の舞台である。  念のため付け加えておくが、架空である。  特定のモデルを複数組み合わせているだけで、あくまで架空である。  繰り返す。  あくまで[架空]である。
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