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「父の事故で少し遠回りしたけど、ジュンは絶対に成功させる。その為に、苦しい訓練に耐えて、多くの事を学んで来たんだから」
「うん、そうだね。私もジュンが私を助けてくれるって信じている。そして夏姫さんとコロンビアワールドに行くのが私の夢・・ 絶対実現する」
夏姫も大きく頷いた。目の端に涙が浮かんで来る。
「私の母も今回は打上げ見に行かないから、明日は真理さんの病室で一緒に打上げを観るって言ってたわ。一緒に、東京から応援してね!」
真理がもう一度頷いた。夏姫の母の恵理は、父の事故のトラウマからジュンの打上げを直接観るのを躊躇しており、東京に残る事になっていた。
「うん、一緒に応援する。それじゃ、夏姫さん。気を付けて。ジュンに頑張ってと伝えて」
「分かった。必ず伝える」
そう言って夏姫はベッドの上の真理を抱きしめた。
そして手を振って、真理の病室を後にした。
廊下に出ると丁度、竹本准教授が真理の部屋に向かっていた。
「竹本先生。真理さんの事、よろしくお願いしますね」
夏姫に気付いた竹本が「あっ」と言って、大きく頷いて見せた。
「やあ、夏姫さん。もちろん真理さんの事は任せてくれ。僕も川崎君の打上げの成功を祈っているよ」
「ありがとう、竹本先生。それでは行って参ります」
そう言って夏姫は竹本に大きく頭を下げると、エレベータに向かった。
夏姫は六階から一階にエレベータで降りて、大学病院の受付を抜けてエントランス出た。そこからタクシーで羽田空港第一ターミナルに到着した。
そして鹿児島経由で夏姫が種子島空港に到着したのは十五時三十分を回った所だった。
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